ゼロイチのみなさまへ大切なお知らせ
【寄付者インタビュー1】慶應義塾出身の信頼できる仲間に感謝。最先端教育の助けになれば(福井健太郎さん)
今回の卒業25年記念事業のひとつに慶應義塾への寄付があります。私たち2001年三田会の寄付は「KEIOみらいストーリーズ募⾦」を通じて、具体的には教育環境の改善、先端研究の推進、学⽣⽀援に直接的に寄与し、⺟校の未来を形作ることに活用されます。こちらの記事では実際に今回の記念事業を通じて寄付をされた同期の方々の想いをご紹介していきます。

Q. 出身学部・学科、ご所属ゼミ・サークルなどを教えてください。
理工学部情報工学科に在籍し、松下・岡田・重野研究室(現・重野研究室)に所属していました。また、剣友会にも所属し、剣道に励んでいました(現在も週2回ほど剣道で汗を流しています)。
Q. 現在のお仕事や活動について教えてください。そのお仕事に携わるようになったきっかけも教えてください。
ふれあい株式会社を含め、国内に4社、海外に1社を経営し、IT・不動産・卸売などの事業を国内外で展開しています。
慶應義塾ニューヨーク学院での高校時代からパソコンが好きで、その延長で大学院まで進学し、IT分野の研究に取り組みました。
大学院修了後はIBMに入社し、金融システム開発の現場で長く経験を積みました。
IBMでは仲間にも恵まれ、充実した日々を過ごしましたが、起業している身近な人々から刺激を受け、「せっかくの一度きりの人生だから挑戦したい」と思い、30代後半で起業を決意しました。
起業当初は失敗の連続で、絶対に成功すると信じて立ち上げたITサービスも、利用者がほとんどいない厳しい状況でした。
それまで大企業の看板のもとで仕事をしてきたこともあり、自らの無知を思い知らされました。
そのような中、慶應義塾大学のネットワークを活かし、多くの現役塾生に支えられながら、さまざまな事業に挑戦するうちに、徐々に経営が軌道に乗り始めました。
当時支援してくれた塾生の多くがそのまま私の会社に入社しており、現在、社員の多くは慶應義塾大学出身者です。
最近では、現役の塾生インターンも10名ほど事務所に出入りしており、若い慶應生たちから日々刺激を受けながら、楽しく仕事に取り組んでいます。

一緒に働く若手メンバーのみなさんと。
Q. 学生時代に特に印象に残っている出来事やエピソードはありますか?
研究室での研究や、アルバイト先でのシステム構築の経験が特に印象に残っています。
研究では、「今の会話にどれほど興味を持っているか」を脳波計で測定し、その結果をリアルタイムにVR内のアバターへ反映して相手に伝えるという、斬新なテーマに取り組みました。
同期や後輩に支えられながら、なんとか修論提出に間に合わせたことを今でもよく覚えています。
その後、後輩たちの努力により、この研究が日経新聞の朝刊などにも取り上げられ、私自身もIBM在職中に博士号を取得することができました。
この研究で身につけたプログラミング技術は、現在の仕事でも開発スタッフの気持ちを理解するうえで大いに役立っています。
アルバイト先では、ある中小企業でパソコンの導入から社内システム構築までを一任され、LANケーブルの配線からWindows/Linuxサーバー環境の構築、社員教育まで、すべて自分一人で取り組みました。
今振り返ると信じられないほど格安の処遇でしたが(笑)、その経験が後の起業に大いに生かされました。
余談ですが、その仕事で2日連続の徹夜をした後、遅めの昼食を取りながら、甲子園決勝で松坂大輔選手がノーヒットノーランを達成する瞬間を、眠気と戦いながら見たことを今でも鮮明に覚えています。
Q. 同期とのつながりが、あなたにどんな影響を与えていますか?
同期との思い出として真っ先に浮かぶのは、剣友会の同期と過ごした日々です。
大学3年のときに副代表を務めさせていただきましたが、当時の私は不器用で、あまり人前に立つことが得意ではなかったため、最初は戸惑いもありました。
それでも、同期や後輩に恵まれ、仲間に支えられながら活動できたことは、大変貴重な経験でした。
この経験を通じて、何事においても相手の立場や気持ちを理解し、謙虚かつ誠実に接する姿勢の大切さを学びました。
また、信頼を得るための努力を惜しまないことが、人との関係を築くうえでいかに重要かを実感しました。
この教訓は今も大切にしており、会社の行動指針の一つとして「常に信頼を得られるようにしよう」という言葉を掲げています。

剣友会3年生の時の試合後の記念写真。男女ともに団体戦優勝!
Q.今でも連絡を取り合う同期の方はいますか?
今でも、剣友会の同期で代表を務め、一緒に会を運営した商学部出身の村山雄二さんとは、時々一緒に飲んでいます。
また、一つ上の代になりますが、経済同友会の副代表幹事などを務められた株式会社ブイキューブ創業者の間下直晃さん(2000年卒)は、研究室の先輩でもあり、現在でもお会いして貴重なアドバイスをいただいています。
さらに、顧問弁護士は剣友会の後輩(2003年法学部法律学科卒 阿部智さん)にお願いしており、顧問税理士や顧問弁理士も慶應関係の知人からご紹介いただいた方々です。
このように、今も慶應の仲間に支えられながら日々の仕事に取り組めていることに、心から感謝しています。
Q.どういった想いから今回の寄付をされましたか?
起業し、現在のように活動できているのは、何よりも慶應義塾大学で得たご縁のおかげだと感じています。
実際、慶應義塾大学出身の社員やインターンの優秀な学生のみなさんに囲まれて働いています。そのご恩に少しでも報いたいという思いから、このたび寄付をさせていただきました。
また、「ゼロイチの会」のキックオフに参加した際、懸命に活動されている同期幹事の皆さまの姿に触れ、私にも何かお手伝いできることがあればと思ったことも、大きなきっかけとなりました。
大学側には起業家教育を充実させたり、学生たちが最先端のIT技術にふれられるようなことに私たちの寄付金を使っていただければ幸いです。
Q.次世代の後輩に伝えたいことはありますか?
ITベンチャーの現場で日々感じるのは、世の中が驚くほどのスピードで変化しているということです。
これは、私がIBMに勤めていた頃にはあまり気付かなかったことでもあります。
私が学生だった25年前には、スマートフォンも生成AIも存在しませんでした。
今となっては想像もつかないかもしれませんが、それほど技術と社会の変化は大きいと感じます。
一方で、現役の学生と話していると、就職活動の風景は当時とあまり変わっていないようにも見えます。
依然として大手企業が人気で、「ガクチカ」や「志望動機」といった言葉も健在です。資格取得を目指す学生も多く見られます。
もちろん、それ自体は素晴らしいことですが、「とりあえず大手企業へ」「資格を取れば安心」といった考え方が、本当に自らにとって最適なのかは一度立ち止まって考える必要があると思います。
自らの心の奥底にある思いと向き合い、人生を通じて本当に成し遂げたいことは何かを、自らの頭で深く考えたうえで行動してほしいと思います。
今は、25年前よりもはるかに多様な進路が「正解」となり得る時代です。
どうか恐れず、自らの信じる道を切り開いてください。そうした方々が活躍する時代が、すでに始まっています。
私自身も、自らにとっての「正解」を探求しながら、これからも日々邁進していきたいと思います。
Q. 50歳を目前にした今、これからどんな挑戦をしたいですか?
近年は、自身のビジネスで収益を上げること以上に、若手の育成や支援に関心を持つようになりました。
「教育」というと偉そうに聞こえますが、指導するというよりも、若い人たちが自信を持って自らの力を発揮できるよう支援する活動をしていきたいと考えています。
例えば、天才的なプログラミング能力を持ちながら、その価値を自覚しないまま大手企業に就職し、才能を十分に生かしきれていないケースは少なくないと感じています。
そうした若手一人ひとりの特性を見極め、客観的な視点からその素晴らしさを伝え、自信を持ってもらうことで成長を後押しできればと考えています。
これまでも、慶應の現役生が立ち上げた企業への出資などを通じて支援を行ってきましたし、20代の若手に経営を任せている会社もあります。
今後は、そのような取り組みをさらに広げていきたいと考えています。
つい先日も、SFの世界を思わせるような革新的なサービスを開発している慶應SFCの若手(政策メディア研究科所属 修士1年 中田康史さん)と話す機会があり、その情熱と発想力に大いに刺激を受けました。
将来、そうした慶應の後輩たちが大志を抱き、GAFAを超える規模で世界に貢献する日本発のベンチャー企業を生み出してくれる日を、心から楽しみにしています。

Q. 出身学部・学科、ご所属ゼミ・サークルなどを教えてください。
理工学部情報工学科に在籍し、松下・岡田・重野研究室(現・重野研究室)に所属していました。また、剣友会にも所属し、剣道に励んでいました(現在も週2回ほど剣道で汗を流しています)。
Q. 現在のお仕事や活動について教えてください。そのお仕事に携わるようになったきっかけも教えてください。
ふれあい株式会社を含め、国内に4社、海外に1社を経営し、IT・不動産・卸売などの事業を国内外で展開しています。
慶應義塾ニューヨーク学院での高校時代からパソコンが好きで、その延長で大学院まで進学し、IT分野の研究に取り組みました。
大学院修了後はIBMに入社し、金融システム開発の現場で長く経験を積みました。
IBMでは仲間にも恵まれ、充実した日々を過ごしましたが、起業している身近な人々から刺激を受け、「せっかくの一度きりの人生だから挑戦したい」と思い、30代後半で起業を決意しました。
起業当初は失敗の連続で、絶対に成功すると信じて立ち上げたITサービスも、利用者がほとんどいない厳しい状況でした。
それまで大企業の看板のもとで仕事をしてきたこともあり、自らの無知を思い知らされました。
そのような中、慶應義塾大学のネットワークを活かし、多くの現役塾生に支えられながら、さまざまな事業に挑戦するうちに、徐々に経営が軌道に乗り始めました。
当時支援してくれた塾生の多くがそのまま私の会社に入社しており、現在、社員の多くは慶應義塾大学出身者です。
最近では、現役の塾生インターンも10名ほど事務所に出入りしており、若い慶應生たちから日々刺激を受けながら、楽しく仕事に取り組んでいます。

一緒に働く若手メンバーのみなさんと。
Q. 学生時代に特に印象に残っている出来事やエピソードはありますか?
研究室での研究や、アルバイト先でのシステム構築の経験が特に印象に残っています。
研究では、「今の会話にどれほど興味を持っているか」を脳波計で測定し、その結果をリアルタイムにVR内のアバターへ反映して相手に伝えるという、斬新なテーマに取り組みました。
同期や後輩に支えられながら、なんとか修論提出に間に合わせたことを今でもよく覚えています。
その後、後輩たちの努力により、この研究が日経新聞の朝刊などにも取り上げられ、私自身もIBM在職中に博士号を取得することができました。
この研究で身につけたプログラミング技術は、現在の仕事でも開発スタッフの気持ちを理解するうえで大いに役立っています。
アルバイト先では、ある中小企業でパソコンの導入から社内システム構築までを一任され、LANケーブルの配線からWindows/Linuxサーバー環境の構築、社員教育まで、すべて自分一人で取り組みました。
今振り返ると信じられないほど格安の処遇でしたが(笑)、その経験が後の起業に大いに生かされました。
余談ですが、その仕事で2日連続の徹夜をした後、遅めの昼食を取りながら、甲子園決勝で松坂大輔選手がノーヒットノーランを達成する瞬間を、眠気と戦いながら見たことを今でも鮮明に覚えています。
Q. 同期とのつながりが、あなたにどんな影響を与えていますか?
同期との思い出として真っ先に浮かぶのは、剣友会の同期と過ごした日々です。
大学3年のときに副代表を務めさせていただきましたが、当時の私は不器用で、あまり人前に立つことが得意ではなかったため、最初は戸惑いもありました。
それでも、同期や後輩に恵まれ、仲間に支えられながら活動できたことは、大変貴重な経験でした。
この経験を通じて、何事においても相手の立場や気持ちを理解し、謙虚かつ誠実に接する姿勢の大切さを学びました。
また、信頼を得るための努力を惜しまないことが、人との関係を築くうえでいかに重要かを実感しました。
この教訓は今も大切にしており、会社の行動指針の一つとして「常に信頼を得られるようにしよう」という言葉を掲げています。

剣友会3年生の時の試合後の記念写真。男女ともに団体戦優勝!
Q.今でも連絡を取り合う同期の方はいますか?
今でも、剣友会の同期で代表を務め、一緒に会を運営した商学部出身の村山雄二さんとは、時々一緒に飲んでいます。
また、一つ上の代になりますが、経済同友会の副代表幹事などを務められた株式会社ブイキューブ創業者の間下直晃さん(2000年卒)は、研究室の先輩でもあり、現在でもお会いして貴重なアドバイスをいただいています。
さらに、顧問弁護士は剣友会の後輩(2003年法学部法律学科卒 阿部智さん)にお願いしており、顧問税理士や顧問弁理士も慶應関係の知人からご紹介いただいた方々です。
このように、今も慶應の仲間に支えられながら日々の仕事に取り組めていることに、心から感謝しています。
Q.どういった想いから今回の寄付をされましたか?
起業し、現在のように活動できているのは、何よりも慶應義塾大学で得たご縁のおかげだと感じています。
実際、慶應義塾大学出身の社員やインターンの優秀な学生のみなさんに囲まれて働いています。そのご恩に少しでも報いたいという思いから、このたび寄付をさせていただきました。
また、「ゼロイチの会」のキックオフに参加した際、懸命に活動されている同期幹事の皆さまの姿に触れ、私にも何かお手伝いできることがあればと思ったことも、大きなきっかけとなりました。
大学側には起業家教育を充実させたり、学生たちが最先端のIT技術にふれられるようなことに私たちの寄付金を使っていただければ幸いです。
Q.次世代の後輩に伝えたいことはありますか?
ITベンチャーの現場で日々感じるのは、世の中が驚くほどのスピードで変化しているということです。
これは、私がIBMに勤めていた頃にはあまり気付かなかったことでもあります。
私が学生だった25年前には、スマートフォンも生成AIも存在しませんでした。
今となっては想像もつかないかもしれませんが、それほど技術と社会の変化は大きいと感じます。
一方で、現役の学生と話していると、就職活動の風景は当時とあまり変わっていないようにも見えます。
依然として大手企業が人気で、「ガクチカ」や「志望動機」といった言葉も健在です。資格取得を目指す学生も多く見られます。
もちろん、それ自体は素晴らしいことですが、「とりあえず大手企業へ」「資格を取れば安心」といった考え方が、本当に自らにとって最適なのかは一度立ち止まって考える必要があると思います。
自らの心の奥底にある思いと向き合い、人生を通じて本当に成し遂げたいことは何かを、自らの頭で深く考えたうえで行動してほしいと思います。
今は、25年前よりもはるかに多様な進路が「正解」となり得る時代です。
どうか恐れず、自らの信じる道を切り開いてください。そうした方々が活躍する時代が、すでに始まっています。
私自身も、自らにとっての「正解」を探求しながら、これからも日々邁進していきたいと思います。
Q. 50歳を目前にした今、これからどんな挑戦をしたいですか?
近年は、自身のビジネスで収益を上げること以上に、若手の育成や支援に関心を持つようになりました。
「教育」というと偉そうに聞こえますが、指導するというよりも、若い人たちが自信を持って自らの力を発揮できるよう支援する活動をしていきたいと考えています。
例えば、天才的なプログラミング能力を持ちながら、その価値を自覚しないまま大手企業に就職し、才能を十分に生かしきれていないケースは少なくないと感じています。
そうした若手一人ひとりの特性を見極め、客観的な視点からその素晴らしさを伝え、自信を持ってもらうことで成長を後押しできればと考えています。
これまでも、慶應の現役生が立ち上げた企業への出資などを通じて支援を行ってきましたし、20代の若手に経営を任せている会社もあります。
今後は、そのような取り組みをさらに広げていきたいと考えています。
つい先日も、SFの世界を思わせるような革新的なサービスを開発している慶應SFCの若手(政策メディア研究科所属 修士1年 中田康史さん)と話す機会があり、その情熱と発想力に大いに刺激を受けました。
将来、そうした慶應の後輩たちが大志を抱き、GAFAを超える規模で世界に貢献する日本発のベンチャー企業を生み出してくれる日を、心から楽しみにしています。
二〇〇一年三田会の
輪
を広げましょう。